2017年6月30日金曜日

心理学において説明よりも予測を選択すること

Yarkoni, T., & Westfall, J. (2016). Choosing prediction over explanation in psychology: Lessons from machine learning. Perspectives on Psychological Science

心理学は、歴史的に行動の原因となるメカニズムの説明に徹頭徹尾関心を持ってきた。無作為課され、非常に統制化された実験は心理学研究の黄金基準として大切にされ、種々の行動の種々の媒介・調整変数の終わりなき検討がなされている。我々は、心理学のほとんどは行動の原因を説明することに焦点を当てる複雑な心理学的メカニズムの理論を提供する研究プログラムが多くを占めているが、著しい正確性を持って将来の行動を予測することがほとんどできない。我々は、機械学習の領域から心理学をより予測科学に為らしめる原理と技術を提案する。主要な心理学の予測的研究課題に焦点を当てたいくつかの基盤となる概念と機械学習のツール、例をレビューする。説明よりも予測により焦点を当てることで行動をより理解することが究極的には可能であると提案する。

心理学に対するここ数年のモヤモヤが割と解消した感じ。というか、自分の志向性的が説明より、予測あるいは操作にあるということが明確になった。

2017年3月24日金曜日

DCMを用いた感情ラベリングの理解の進展

 (2013). Advancing understanding of affect labeling with dynamic causal modeling. NeuroImage82, 481-488.

偶発的な感情制御のフォームのメカニズム的理解は感情科学における基礎的応用的研究への示唆を与える。本研究では、fMRIのDCMを表情ラベリングパラダイムに用いて前頭前野から皮質下への影響を検討した。感情ラベリングにはvlPFC、amygdala、ブローカ領域を含む4つの領域を用いた。64個のモデルを45人の健常者を対象に検討した。32個のベイズモデルでは強固な内在的なネットワークの結合性がしめされた。ラベリングの調整効果は、ブローカ領域からamygdalaまたはそれよりも強いvlPFCからamygdalaへの抑制効果を示すベイズモデル平均において強固に観察された。これらの結果は、これまでに相関関係で示されていた皮質ー皮質下領域の負のカップリングを頑健かつ拡張する知見である。

感情ラベリングのメカニズムを考えるうえで非常に重要な知見。実際に自分でもやるべきだと思っているが、なかなか進まないのが残念。

2017年3月23日木曜日

知覚された道徳への脅威が引き出す汚染関連強迫行為の傾向

Threats to moral self-perceptions trigger obsessive compulsive contamination-related behavioral tendencies
Doron, G., Sar-El, D., & Mikulincer, M. (2012).  Journal of behavior therapy and experimental psychiatry, 43(3), 884-890.

汚染恐怖に関連した強迫は日常生活を著しく害する。本研究では知覚された道徳に対する脅威が、汚染関連強迫行為の傾向を生起させるかを検討した。
3つの実験により、道徳関連プライミングが汚染関連行動に及ぼす影響を検討した。
自己の道徳における不適格は、強迫行為の傾向上昇を導いた。この影響は、自己に関連したネガティブな情報に限定された。この知見は、事前の自尊心やストレス、不安、抑うつおよび気分の変動性とは関連しなかった。
本研究は非臨床サンプルに対して行われた点で限界がある。
道徳的な過敏性は、汚染と関連した恐れと因果関係があるだろう。この過敏性に対する治療は、強迫性障害の治療にも有用かもしれない。

この論文の研究者は数年前から愛着との関連も検討しながら、このテーマで研究をしている。実験手続きでは、被験者自身の道徳的態度が一般母集団と比較して低い(カバーストーリーだが)ことを正規分布でプライミングしている。
非常に興味深いが、いかにも実験社会心理学的研究でもある。

2017年2月15日水曜日

xbox360のコントローラーをPsychopy Builderで使用する

xbox360のコントローラーをPsychopy Builderで使用するには、ネットで調べてCode componentの埋め込みで十分動作することを覚えた。
正規品のコントローラーのみ動作したが、サードパーティ製のものはきちんと動作しなかった。無駄金を使ってしまった。

Codeコンポーネントに以下の記述をRoutineにいれることで左右のトリガーの動作確認したので、備忘録。

2017/2/24修正。

#Begin Experiment
try:
    from psychopy import visual, core
    from psychopy.iohub import launchHubServer, EventConstants
    from psychopy.data import getDateStr
    kwargs={'psychopy_monitor_name':'default','xinput.Gamepad':{}}
    io=launchHubServer(**kwargs)
    gamepad=io.devices.gamepad
except Exception, e:
    import sys
    print "!! Error starting ioHub: ",e," Exiting..."
    sys.exit(1)

#Begin Routine
response_event=None
LT=0
RT=0
trial_start=0
io.clearEvents()

#Every Frame
if frameN == 0:
    io.clearEvents('all')
    trial_start=core.getTime()

else :
    gp_triggers = gamepad.getTriggers()
    # psychopy time that the trigger values were actually read (in sec.msec)
    trig_time = gp_triggers['time']
    # values will be between 0.0 and 1.0. 0.0 = Not pressed at all; 1.0 = fully pressed.
    left_val, right_val = gp_triggers['left_trigger'], gp_triggers['right_trigger']
    if left_val > 0.5 and right_val > 0.5:
        # set some response vars like you were
        response = gp_triggers
        continueRoutine = False
        break      
    if left_val > 0.5:
        LT=1
        continueRoutine = False 
    elif right_val > 0.5:
        RT=1
        continueRoutine = False 

#End Routine
trials.addData("trial_start_time", trial_start)
trials.addData("LT", left_val)
trials.addData("RT", right_val)
trials.addData("react", trig_time)
ReactionTime=(trig_time) - (trial_start)
trials.addData("ReactionTime", ReactionTime)
#End Experiment
io.quit()

2016年4月12日火曜日

治療者の成り行き任せ(therapist drift)の復活:なぜ善意(?well-meaning)の臨床家は実証的な治療の遂行に失敗するのか、そしてどのように軌道修正するか

Waller, G., & Turner, H. (2016). Therapist drift redux: Why well-meaning clinicians fail to deliver evidence-based therapy, and how to get back on track. Behaviour research and therapy77, 129-137.

治療者の成り行き任せは、臨床家が必要なツールを持っているにもかかわらず望ましい実証的治療を遂行するのを失敗した時に生じる。そして、普段の臨床実践よりも有効性の低い治療の重要な要因である。このような現象に関する研究はこの5年の間に増加している。このレビューではこの治療者の成り行き任せに関する増加しているエビデンスについて検討する。実証的な心理療法の遂行に失敗する理由には、パーソナリティ、知識、感情、信念、行動、社会的環境があると考えられる。この治療者の成り行き任せにどのように対処するかのアイデアには、実証的な治療の回避を維持するような治療者の認知や感情、行動に対する認知行動的アプローチが含まれるだろう。



個人的には経験論的に知られていることやCBTの教科書に書かれているようなことなので情報としては新しくない。しかし、量的なレベルで明示されるのはレアである。この論文内でも紹介されていたが、治療者の不安は曝露療法の使用や遂行の妨げになることが明らかになっている。therapist driftは無理押ししてドロップアウトしてしまうことを防ぎたいという欲求による場合が多いと思うが、ドロップアウトの確率をどれだけ現実的かつ客観的に治療者が判断できているかは治療者の要因が大きいということだろう。

2016年3月2日水曜日

TobiiをOpensesameで使用するために必要なこと:備忘録

Psychopyと同様Pythonで作られた刺激提示用プログラムにOpensesameというものがある。Psychopyと比較すると使用者は少ないと思われるが、GUIベースでありPsychopyのBuilderとはかなり構造が異なるが簡単である。これだけではOpensesame使用する理由には足らないが、Tobiiのアイトラッカーを導入したためPsychopyかOpensesameと同期させる必要が生じた。
TobiiはE-primeやInquisitといった商用ソフトとの連携は保証されている。しかし、これらの商用ソフトでセットアップするのは非常に経済的なコストがかかる。Pythonの場合、PygazeというPythonでTobiiも含めたさまざまなアイトラッカーの制御を可能とするものがフリーで存在するため、これを活用すればコストは抑えられる。しかし、基本的に気が短いことと素人に近いため自分でPsychopyにPygazeを組み込むのが難しいことがわかった。一方でOpensesameにはWindows版にはもともとPygazeが組み込まれているため、連携は相対的に容易である。したがって、OpensesameによるTobiiとの同期を試みることにした。しかし、容易であるはずのPygazeとの連携は多少の困難があった。現状について書き記しておく。

前提条件
・Python2.7(32bit)がインストール
・Opensesame(32bit)のインストール
・Tobii SDKのインストール

基本的には上記のことができていればOpensesame上でのTobiiの使用は可能である。しかし、これができているつもりでもエラーが発生し前に進まない。Opensesameのコミュニティをみるとこの手の問題が繰り返し質問に挙げられている。これらのコミュニティを探した結果、以下のことが重要であることがわかった。
・Tobii SDKのPython binding
・Pygazeの一部のスクリプトの変更
・適切なフォルダの指定および場所

・Tobii SDKのPython bindingsについてはTobii SDKのマニュアル参照。pygtkをpythonにインストールする必要がある。また、これは確信がないがコマンドプロンプトからパスを設定することも重要のようだ(起動するたびに必要かもしれない)。
・Pygazeの一部のスクリプトの変更については、コミュニティにて作成者がコメントしており、そのとおりに変更すればよい
・適切なフォルダの指定および場所については、パスを引いたTobii SDKのモジュールをOpensesameで読み込むことが可能なフォルダである必要がある。

上記の事項をおこなった後に、アイトラッカーが接続されていることを確認したうえでOpensesameのPygazeでのテンプレートを使用した。
Opensesame上でのPygazeではアイトラッカーのセッティングから始まり、その後キャリブレーション、測定開始、ログの取得、測定中断、測定終了の設定を行うことができる。現状ではログとして残るものがどういうものかは完全に把握できていない。
基本的な機能は使えるようになったが、Pygazeのキャリブレーションではそもそも赤外線光が眼球に投影されているかをチェックしていないので事前に位置あわせを十分行っておくのが良い(追記:tobii studioでキャリブレーションチェックするのが良いが、非常に重いソフトウェアなので同時使用は難しい)。

当面の課題はクリアできたので、後は刺激の位置と対応させてログがどのように残るかを把握し、Pygazeの他の機能も知る必要がある。
(追記:視線座標のデータがどのようにログに残るのかをひたすら調べていたが、実際に測定されたデータはtsv形式で保存されることがわかった。これに左右眼球のxy座標がタイムスタンプとともに記録されている。ダミーで走らせても意味のあるログは残らない。)

2015年8月5日水曜日

論文抄読会は批判的評価スキルの教育に効果的か?

Fu, Cynthia HY, et al. "Is a journal club effective for teaching critical appraisal skills?." Academic Psychiatry 23.4 (1999): 205-209.

医学系ではEBMの知識・スキル向上のための教育と関連してこの手の論文が多いようだ。この論文では抄読会にはさほど参加者の能力向上には効果がないとのこと。別のシステマティックレビューではこの手の研究の方法や評価の一貫性の無さからまとまった結論を出せないとするものもあった。個人的には、抄読会のリーダーの知識やスキルが非常に重要ではないかと思う。
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