2011年4月5日火曜日

うつ病における認知的感情制御の急性・持続性の効果

Acute and sustained effects of cognitive emotion regulation in major depression.
Erk S, Mikschl A, Stier S, Ciaramidaro A, Gapp V, Weber B, Walter H.
J Neurosci. 2010 Nov 24;30(47):15726-34

気分と情動の制御に関する機能障害はうつ病の重要な要素であり、抑うつを持続させる。fMRIを用いて、我々はうつ病患者と健常者の感情制御の時間的変化を検討し、感情制御による急性・持続性の神経活動への影響を検証した。うつ病患者17名と健常対照者17名は情動画像刺激呈示中にアクティブな認知的感情制御を行った。1つめの課題の15分後に行われた2つめの課題では、同じ画像刺激を受動的に呈示されるのみの課題を行った。全脳解析と結合解析により、脳活動と領域間の結合性に対する感情制御の急性・持続性の影響を検討した。集団解析ではうつ病患者はネガティブ感情を減少させることができ、扁桃体の活動も同様だったが、症状の重症度に伴ってその能力は減少した。さらに、健常者では15分後の2つめの課題においても扁桃体の活動への制御が持続していたが、うつ病患者では持続しなかった。患者では、アクティブな感情制御の際の前頭前野皮質の活動減少と前頭皮質-辺縁系の結合性が低下していた。患者においても症状の重症度に依存して感情制御を子ナウ能力は保持されているが、その効果は持続しないと言える。相関解析からは、このような持続的な感情制御の効果の減少は前頭前野における感情制御を行っている際の活動の減少と関連していることが示唆された。

パラダイムとしても興味深い構成になっているが、結果についてもインパクトがある。Johnstone et al (2007)でもうつ病患者と健常者に認知的制御遂行時の活動に差がみられずにDCMで差が見られていたが、この結果を追従している。それだけでなく、うつ病患者で感情制御の効果が持続しないということを示したという点も面白い。CBTのような治療によって効果が持続するようになるのかは今後の重要なポイントになるだろう。

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