2012年5月24日木曜日

寛解うつ病における情動制御の欠落:制御方略、方略使用の習慣、そして情動価の影響



Neural correlates of emotion regulation deficits in remitted depression: The influence of regulation strategy, habitual regulation use, and emotional valence. 2012 Neuroimage


認知的再評価を通して情動制御はうつ病患者において異常な神経活動のパターンを喚起することが示されている。しかし、この欠落が他の情動制御方略に一般化されるか、患者が回復しても残存するのか、情動制御の習慣的使用と関連しているのかは明らかになっていない。そこで、我々はfMRIにおいて情動画像に対する神経活動を寛解うつ病患者と健常者に行った。画像を見ているときに被験者は喚起された情動を認知的再評価か気ぞらしのどちらかをもちいて制御した。習慣的な認知的再評価の使用はCognitive Emotion Regulation Questionnaireを用いて測定した。うつ病患者はネガティブ情動刺激に認知的再評価を行うときの扁桃体の活動のダウンレギュレーションが欠落していた。この扁桃体のダウンレギュレーションは認知的再評価を高頻度で用いる被験者において最も強固であった。前帯状回や外側眼窩前皮質を父君んだ制御ネットワークの活動はどちらの情動制御方略においても増大した。寛解うつ病患者におけるこの知見は、情動制御の変化はうつ病の特性マーカーであることが示唆された。この解釈は習慣的な認知的再評価の使用が扁桃体のダウンレギュレーションの達成と関連していることによって支持される。


非常に良いデザインの研究。目的も方法もレベルが高いが、唯一画像解析の方法があまり良くない。結果からは扁桃体の活動はpassive viewingでは群間差が見られなかったようだが、これは情動刺激に体する扁桃体の活動はtraitではなくstateであることを示唆している。確かに他の画像研究を見ても治療を行えばネガティブ刺激に体する扁桃体の活動は全般的に低下するという結果である。しかし、認知的再評価における扁桃体の活動の異常は寛解しても残るのであればネガティブ刺激に対する反応と異なり、traitとして残存するということだろう。

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