2012年8月6日月曜日

うつ病における恐怖表情ではなく悲しみ表情に対する扁桃体の反応増加:気分状態と薬物療法との関連

Increased Amygdala Responses to Sad But Not Fearful Faces in Major Depression: Relation to Mood State and Pharmacological Treatment 2012 American Journal of Psychiatry

ネガティブ情動に対する扁桃体の反応増加は、うつ症状の背景にあるネガティブ情動処理のバイオマーカーでうつ病の再発の脆弱性であり薬物療法によって正常化する。本研究の目的はうつ病における顔表情に対する異常な扁桃体の反応が情動特異的であるか、また薬物療法によって変化するか、あるいは薬物療法を終えた寛解うつ病において特性として残存するかを検討することである。62人の治療なしのうつ病患者(38人が現在のうつ病、24名が寛解)と54人の健常対象者は間接的顔表情処理課題を行い、fMRI測定を行った。32人の現在のうつ病患者はシタロプラムで8週間治療を受けた。治療のアドヒアランスは血清中のシタロプラム濃度で管理した。現在のうつ病患者は健常者や寛解患者に比べて悲しみ表情に対する扁桃体の反応増加がみられた。シタロプラムは悲しみ表情に対する扁桃体の反応を根絶したが、恐怖表情に対する反応は変化しなかった。悲しみ表情に対する異常な扁桃体の反応はうつ状態に特異的であり、うつ病エピソード中のネガティブ情動バイアスの潜在的なバイオマーカーであると考えられる。

event-related designではなくblock designの顔表情課題で扁桃体の賦活を見た研究は珍しい。blockで良いなら楽な話だが・・・。

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