2013年9月5日木曜日

感情の認知的再評価:人を対象とした脳画像研究のメタ分析


Cognitive Reappraisal of Emotion: A Meta-Analysis of Human Neuroimaging Studies
Jason 2013 Cerebral Cortex

近年、情動的インパクトを変容するために刺激に対する評価の仕方を変える、認知的再評価の脳画像研究が爆発的に増えている。現存のモデルは、認知的再評価が扁桃体の情動的反応を調整する前頭前野や頭頂領域に関与することで一致しているが、どのようなプロセスで扁桃体を調整するかは競合した意見がある。一つの意見は、腹側内側前頭前野がコントロールしており、消去に関与するため扁桃体が抑制されるというものである。別の意見は、意味表象に関わる外側側頭皮質が間接的に扁桃体を抑制するというものである。さらに、先行研究が扁桃体の役割を重要視しているにもかかわらず、認知的再評価においては未知の情動領域に関わるというものもある。これらの疑問を解決するために、ネガティブ情動の低減を目的とした認知的再評価の論文48個をメタ分析した。認知的再評価は一貫して、1)認知的コントロール領域と外側側頭皮質を活性化させたが、腹側内側前頭前野は活性化が見られず、2)両側の扁桃体を調整していた。この結果は、認知的再評価は情動刺激に対する意味表象の変化を通して認知的コントロールをしており、その結果扁桃体の情動反応が調整されていることを示唆している。

ちょっとした間に重要な論文がいくつも出ていた。NeuroElfという解析パッケージを使っていたのが興味深い。このメタ分析で認知的再評価は腹側内側前頭前野の賦活が一貫していないという結果がでたことは非常に大きい。認知的再評価が操作としてどれくらい上手くいったのか、刺激のモダリティ、認知的再評価の方略によって変わりそうな気もする。

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